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太陽信仰の時代からローソクは使用されていました。紀元前3世紀頃にはヨーロッパや中国にも存在していたことが知られています。
またギリシャ時代にはパピルス草や葦の葉を束ねたものに、蜜ローや動物の脂肪を塗ったローソクが使用されていました。現代使用されているローソクとは少し違っていますが、今と違い電気が無かった時代には、ローソクが暗黒の場所を照らし出す貴重なものとして主に宮殿や寺院での宗教的な儀式等に使用されていました。
ローソクのあかりは邪気を払い災いを避け、廻りを浄化し幸運を呼ぶ魔力があると信じられ、永い歴史の中で様々な典礼に点火されてきました。
一方では闇を照らす生活の灯りとして貴重な役目を持ち、電灯普及までの長い歴史の中で無くてはならないものであったわけです。原始時代の松明から動物性の脂肪やミツバチの巣から採集した蜜ロー、はぜの実から採集する木蝋、そしてパラフィンローソクに至るまでの何と永い歴史の道のりでしょうか。
日本には6世紀後半(欽明7年538年説)に百済を通じ、遠くインドに起こった仏教の伝来とともにローソクが伝えられました。この頃のローソクは蜜ローが使用されていましたが、非常に高価なもので貴族社会や寺院での仏事や祈祷などの特別な行事のみ使用されていたとの事です。
鎌倉時代の後期から南北朝時代にかけては、ウルシ蝋が中国より伝わって武士層でもローソクを使用するようになりました。室町時代に入ると越後や会津地方でウルシによるローソクが製造され始めましたが、ローソクは当時も高額なため一般大衆は菜種油やゴマ油を灯芯(藺草の芯)に浸して行灯を使用していました。
室町時代から安土桃山時代(16世紀)にはウルシの他にハゼの実から採集される油分を使ったローソクが製造され、江戸・大阪・京都にローソク問屋が出来て大いに繁盛していました。
ローソクの大量生産が可能となったのは、18世紀半ばのイギリスです。石油からパラフィンが発見されパラフィンローソクが生産されるようになって急速に普及していきました。
垂れず・曲がらず・クスぶらずの『3ず』が品質の良いローソクと言われておりますが、主原料であるパラフィンワックスがローソクに適しているかが品質を決める大きなポイントとなります。
パラフィンワックスの融点・針入度・耐光性・耐熱性の他にも、製造段階においてローが適度に芯糸に付着しているか、芯糸は真っ直ぐにローソクの中心を通っているか等が大きく品質を左右いたします。
融点
パラフィンワックスの塊が溶け始める温度
針入度
パラフィンワックスの塊に一定の太さの針がグラム当たりの圧力で何ミリ入るか
耐光性
パラフィンワックスを日光に当てて変色するか
耐熱性
パラフィンワックスが何度で変形するか
芯糸にローソクが付着していないと芯糸だけが燃え尽きてしまい消えてしまう。
芯糸がローソクの真ん中にセットされていないと流ローの原因となる。
ローソクに点火することにより溶けたローが、毛細管現象により芯糸を上がっていきます。最初の一滴が上がってゆくと、凝集力によって続いていきます。芯の先まで上がったローは高温のためガス化して炎となります。ローソクを消した直後に火を近づけるとポッツと火がつくのはガス化した蒸気のためです。
ローソクが、芯にそって下に燃えていかないのは溶けたローが炎を消してしまうからです。
良いローソクはパラフィンの質やローソクの太さと芯糸のバランスが正確に出来ており、いつも一定の明るさで煤けずに完全燃焼します。またほこりや不純物は芯を目詰まりさせる原因ともなりますので、小箱の中で保存ください。
先祖供養には灯りの他に花、浄水、供物、線香(香)の五つを数え「五供」と呼んでいます。毎朝のおつとめには灯明をあげて線香を焚き、お仏飯と水やお茶をあげ、花をお供えして経を読み、あるいはお念仏を唱えてご先祖に感謝し生きている喜びと一日の無事をお祈りします。
仏壇にお灯明をあげるのは、仏様の周りを明るく照らし供養するだけでなく、仏様の知恵と慈悲の輝きであり、それを称えるという意味があります。
灯明は、一般的には左右二つ、お釈迦様の白灯明・法灯明の教えに従ってあげます。
紀元前の昔から香料は神仏に捧げるものとして、また心を浄め病を癒すものとして用いられてきました。
その源はインドのヒンズー族といわれ、エジプト・ギリシャローマへ、また中国を経て日本に仏教の伝来とともに伝えられました。平安時代には香料や香木を調合して香を生活の中に取り入れたことが「源氏物語」にも記載されております。
当時の宮中では現代の香水やオーデコロン感覚で衣服に付けたり芳香剤感覚で室内香として使用していましたし、仏的行事にも使用されていました。
室町時代には「六国五味」(りっこくごみ)という沈香の分類基準を設けて「香道」が確立されました。
線香はインドでは遥か昔から細い竹に香料の粉末を塗りつけたものが宗教的に使用されており、香と同時期に始まったといえます。
今日のお線香は様々な香料を練り合わせて固め棒状にして燃焼時間を延ばすために工夫されました。
仏事における線香供養はローソクの灯明と同様にその周辺を聖域とし、汚れや悪霊から仏の身を守り浄化するという役目をもっています。
仏教会では、人が亡くなり霊から仏になるまでの49日間を「中有」「中陰」ともいい、この間は「香煙」を食して仏になると説いています。
日本では民間信仰においても香煙や火、浄水が祈りの媒体として利用され、あの世とこの世、神と人間との対峙する方法として長い歴史の中で継承されてきました。
線香の原料には植物性、動物性のものや、人為的に作られた香料があります。それらの原料を調合し、練り合わせて製造します。
基材として用いられるタブ粉は、常緑樹の桂皮を乾燥させ粉状にしたもので、主に東南アジアにて収穫されます。
線香が棒状や渦巻き状になっているのは、一定時間燃焼させる必要があるからです。
伽羅
香木のなかでは最高級品 水の中で完全に沈む(沈水香) 香木そのものが匂いを発する
沈香
沈丁花科の幹・根・枝などに樹脂が凝固したもの
白檀
インドのマイソール州のものが最上級 老山白檀と呼ばれ珍重されている 常温でも甘い爽やかな香りを発する
その他に人工香料や、生薬系の香料として桂皮・丁字・山奈・木香・零陵香等や、動物性香料として麝香や龍ぜん香等がありますが、現在はワシントン条約により採集することは禁じられています。
線香
一般家庭、寺院、葬儀社で使用されています。香、香木を練り合わせて棒状に加工し、燃焼時間により長さや太さを調整します。近年の住居環境により、煙が少なく香りを抑えた線香の要望が増えております。
渦巻き線香
葬儀から49日の間、香煙を絶やさないために考えられました。主に関西地区にて用いられていますが近年全国的に普及しています。燃焼時間は約12時間で、線香の長さは直線にすると約2メートル以上もあります。
杉線香
杉の葉を乾燥させ粉末にしたものを練り合わせ線香状にしたもの。青臭さがあるため主に墓参用として用いられています。
香木
伽羅を初めとする沈香や白檀等の香木を細かく割ってそのまま焚きます。匂い袋にも用いられています。
塗香
仏教儀式の前に身体を清めるために手に塗り、口から深く息を吸って体の中を浄めます。
焼香
香木や生薬を刻んで混ぜ合わせ、直接炭の上にのせて焚きます。近年は煙の少ない焼香が好まれており、特に業務用でのご要望が多くなっています。
竹線香
東南アジアで一般的に用いられている線香で、日本では長崎や横浜の中華街などでよく見かけます。
練り香
線香の元になったもので、沈香や多種の生薬を柔らかく丸めてあります。お茶席などで灰の傍に置き、温めて香りを楽しみます。
お盆は正しくは盂蘭盆会(うらぼんえ)といって「仏説盂蘭盆経」という経典がもとになっています。盂蘭盆会とはサンスクリット語のウランバナ(逆さ吊りの意味)を音訳した言葉です。
お釈迦様の弟子の一人目連が餓鬼道に落ち逆さ吊りになって苦しんでいる母親を助けるにはどうすれば良いかとお釈迦様に相談しました。お釈迦様は、7月15日に僧たちを招き諸仏衆僧を供養しなさいと言い、目連がその教えに従ったところ、その功徳によって母親は極楽往生がとげられたという伝説がお盆の起源となりました。
お盆は旧暦の7月15日の行事でしたが、太陽暦以後、特に戦後になると関東地方では暦通りの7月15日、関西地方では8月15日が一般化しました。
お盆行事として精霊を迎え、お盆が終わると精霊流しや京都大文字の送り火行事が行われます。家々に迎えていたご先祖さまの霊魂(ホトケ)を河や海に送り出す儀式です。古代の日本人は海の彼方や山の上に死者の世界である他界があると考えていたからです。また盆踊りがありますが、日本の伝統文化において「舞」と「踊り」は区別されています。舞は水平方向に静かに旋回する運動を中心に構成されており、これは神様を持て成すためのものです。それに対して「踊り」は、垂直方向に激しく飛び跳ねる運動が中心になり、その目的は魂を鎮めるためです。ゆえにお正月には舞いが、お盆には踊りがなされます。
お盆というのは日本独特の行事です。仏教行事というより日本民族の伝統的な宗教行事といえるでしょう。
彼岸というのは、梵語のパーラミター(波羅蜜多)の訳でその意味は「向こう岸に渡る」という意味です。煩悩に満ちた此岸(しがん)から極楽浄土・真実の悟りをえた世界に至るという願いが込められています。春彼岸は3月21日ころの春分をはさんで7日間、秋彼岸は9月23日ころの秋分をはさんで7日間をいいます。この7日間を彼岸会といい、お彼岸と略していいます。
仏教には、西方浄土といって、西に極楽があるという考えがあり、春分と秋分の日は、太陽が真東から出て真西に没するところこそ、往生の願いを叶えてくれるところであるという考えで彼岸会が営まれるという説があります。
人が亡くなられた日を命日または忌日といい、祥月命日とは故人のなくなった月日と同じ月日のことを言います。 仏教会では、人は亡くなってから四十九日で極楽浄土へ辿り着き仏になると考えられています。そのため、七日ごとに追善供養を行うことにより、亡くなった人だけでなく私たち生きているものたちも徳を積むと考えられています。四十九日(中陰)が過ぎると、忌明けとなります。忌とは死者の穢れをつけている期間をさし、喪は喪服を着て故人の冥福を祈る期間をさします。
金仏壇
檜、杉、欅などの木地に、漆を塗り金箔をおしたもの
唐木仏壇
木目が表面に現れたもので、木地は、黒檀、紫檀、タガヤサン等が高級の部類で、カリン、ホウ、サクラ等がポピュラー。
新仏壇
プリント板、キャビネット風のデザインが工夫されたニュースタイルのもの。
仏壇には、本尊のほかに仏具が必要です。宗派によって多少の相違がありますが、一般的に揃える仏具は次のとおりです。
香炉
香を焚くための器で、中に灰を入れ使用します。陶製ものと金属製のものがあります。
ローソク立て
燭台 火立て
花立て
花を生ける花瓶
茶湯器
茶を注ぐ器
仏飯器
ご飯を供える器
鈴
真鍮製のものが多い
以上のほかに たかつき(供物、菓子、果物をのせる台)や線香差し、マッチ消し、打敷などがあります。
仏教に親しんでいる日本人の心のなかでは、ご先祖様の居場所は「仏壇」であり、毎日ご飯やお茶を供え、花を飾り、戴き物があれば真っ先に仏壇に供えることを何の疑問もなしに繰り返しています。これを「日々の供養」といいます。
仏教の世界にも茶道や華道の世界同様に、いくつもの宗派があり、また分派があります。
形式や作法を知らないよりは知っていた方が良いのですが、私たちが共通して知っていることは、むしろそれらの形式ではなく心を込めて拝み敬うというのが本質ではないでしょうか。
「命日」や「お彼岸」「お盆」「年末年始」にはお墓参りをします。
お墓には花、ローソク、線香、供物、数珠を持参し参ります。礼拝の前にお墓の廻りをきれいに清掃して、お墓も水できれいに洗ってください。
供物を供え、ローソクを灯し、線香に火をつけます。その後に、墓石に上から清らかな水をひしゃくでかけ合掌礼拝します。
墓石に水をかけるのは、死後の世界の一つに「餓鬼道」という世界があり、ここに生まれ変わった死者は常に渇きに苦しむ、とされているからです。
礼拝のあとは、墓前の花以外の供物は持ち帰ります。
そして仏壇の供物の場合と同じように、参会者で頂くようにしましょう。
手桶やひしゃくは霊園や寺院に常設されているところが多くみられます。
線香を焚く線香立てや線香皿、ローソク立ては風が吹いても消えにくい風防用を使用すると便利です。
お花立ては陶器やステンレス、プラスチック等がありますが水持ちのよい容器をお勧めいたします。その他墓石を掃除するたわしやクリーン剤も取り揃えております。